ネットで本を買い、電子書籍で名作を読む。それが当たり前になった時代に、あえて雑誌をメインに取り扱う「古本トロニカ」をオープンした広川啓規さん。雑誌の魅力や、本屋に行く楽しみなどを語っていただきました。



「古い雑誌には、当時のデザインやファッション、広告などがギュッと真空パックされていて、それを見るとタイムスリップできる面白さがある。それが雑誌の魅力の一つ」と語るのは、古本トロニカ店主の広川啓規さん。例えばテレビで人気だったドラマは後にパッケージ化され、いつでも観ることができますが、CMやニュースなどはその時限り。雑誌にもそれと同じ「その時限り」の面白さがあり、だから懐かしさを感じるのだと言います。

「今は本もネットで手軽に買える時代。欲しい物がはっきりしているときは便利ですけどね。でも “何となくこんな感じのものが欲しい”と思って書店をブラブラして、知らなかった本と出会う。そういう楽しみは書店ならではですよね」。広川さんが札幌にいた10年ほど前に通っていた古本屋も、2年前に帰札した時には閉店。自分が行きたいと思う場所が消えていました。「それなら、自分が行きたい店を作ろうと思いました」。そうして古い雑居ビルの2階に昨年11月、古本トロニカが登場しました。

散歩の途中で本屋に立ち寄り、気になる本と出会い、近くのカフェでページをめくる──そんな楽しさを提案できればと広川さんは言います。「その時必要な知識を得るためなら電子書籍もいいと思います。でも、写真やファッションなど趣味性の高いものを見るときは、ページをめくる紙の手触りなども含めて雑誌で楽しんでほしいですね」。創刊当時のan・anを見て、若い子が格好いいと思う。そんな出会いが、トロニカにはあります。

*(写真中)暮しの手帖第1世紀56号の「ベビーカーをテストする」は広川さんがもっとも衝撃を受けた記事。各種ベビーカーに赤ちゃんと同じ重りを乗せて100km歩き、何kmの時点で壊れたかをレポート。結果「おすすめはありません」なんて、凄すぎます!


■古本トロニカ
住所/札幌市中央区南1条西13丁目317-2 三誠ビル2F
TEL/011-596-0909
OPEN/12:00〜19:00(土曜〜17:00)
CLOSE/日曜・祝日
http://tronikabooks.blog31.fc2.com/




広川 啓規 Akinori Hirokawa
札幌出身。6年間東京で音楽関係の仕事に携わるいっぽう、神保町の古本屋街に足繁く通い、興味のある雑誌のバックナンバーを探しては買い集める。帰札を機に2009年にネット古本屋を開業、2010年11月25日に実店舗オープン。

古川奈央の「今月の一言」
作り手がこだわりを持って作り上げる1冊の雑誌。そこに凝縮されたものを広川さんはよく理解し、感じとっています。トロニカは「書店にいくと1時間出られない人」はもちろん「なんか面白そうなもの」を探している人も必見の古本屋さんです。



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