「心の肌」

頬にそよ風を感じる時。
私の心の肌は、雲のようにフワッと柔らかくなっているかもしれない。
暗闇の中で冷たい風を感じる時。
私の心の肌は、石のように固くなっているかもしれない。

心の肌をイメージしてデザインを始めたのは
2011年にSecond skinをテーマに生地作りをした時からだ。

長引く世界不況や震災などの出来事により、
人々は不安感から逃れるため攻撃的なものや刺激的なものよりも、
精神的な安心感、優しさ、リラックス、癒し、健康などを
求めた生活を考える傾向が強くなってきている。

その中でテキスタイルを通して、体を包む機能だけではなく、
心を包む役目も表現出来るのではと考え、
Second skinというキーワードが頭に浮かんだ。

私たちが快適さを感じるものとは、
どんな色なのか、触り心地なのか、柄があるのか、透明感があるのか、
心を包む肌をイメージして感覚を物質に落とし込んでいく。

私がクリエーティブディレクターを担当している「gredecana」
ーグリデカナーというブランドでは、
いつも元気をもらう北海道の自然から毎回テーマを考えている。

未だに札幌在中にこだわって生活しているが、
北海道は私にとって重要な立ち位置である。
国内外と色んな場所を渡り歩き、ビジネスと向き合う中で毎週末北海道に戻ってきた時、
空港から自宅までの景色や空を眺め、必ずと言ってよいほど心が元気になる。
リラックスできる場所に戻ることで、商品に表現したい気持ちを実体験できる時間でもある。

毎回、同じ場所に立って自然を見ても、その時々の状況で心の肌の感じ方が違うのが面白い。
ふとしたきっかけで、昔のことを思い出したり、未来の生活について考えたり。
年を重ねたからなのか、感じることはいつも違う。
その度、私の心の肌も、敏感に些細な気持ちをキャッチして変化し、幸せを探し出す。

2013年春夏のgredecanaのテーマは「Wind trip」。
森の中で湖畔を眺めていた時、
頬に触れるそよ風が昔旅した時のことを思い出させてくれた。
その時に感じた草原の香りや空の青さ、水面のさざ波は、
今でも振り返ると心地良い開放感を感じる。

多くの人達がgredecanaのテキスタイルに触れた時、
優しくふんわりした心の肌を感じて気持ちが満たされるように、
私自身も自然の透き通るエネルギーを感じる瞬間を大切に暮らしていきたいと思う。




梶原 加奈子 / テキスタイルデザイナー
http://kajihara.jugem.jp/

1973年北海道生まれ。'05年RCA卒業。’08年KAJIHARA DESIGN STUDIO設立。
’10年gredecanaクリエーティブディレクター就任。
テキスタイルデザイナーとして様々な分野のデザイナーや企業とコラボし活動中。
直近では、コープさっぽろのエコバッグ「北のはなマイバッグ」をデザイン。

gredecana HP/ http://www.gredecana.com/




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