愛嬌のある表情、明るく自由な色使い、流麗な曲線美…。
まるで上質な北欧家具のような凛とした姿で私達をハッピーにしてくれる《こけし》。
そんな日本の伝統である《こけし》を作り続けてきた工人さんが、今回の震災で苦境に立たされています。
そんな東北を、工人さんを《こけし》で支援しようと立ち上がった「KOKESHIEN!」。
札幌でもいよいよ始まりますよ。
●こけしの魅力に気付いた
1人のデザイナーがいました。
古いものというイメージを持っている人も多い…かもしれない日本の伝統工芸《こけし》。
東北地方で生まれ、育まれてきた《こけし》の魅力を再発見し、
その素晴らしさを広めようと活動しているのが、グラフィックデザイナーの軸原ヨウスケ氏です。
いくつかの文献を読み込み、こけし館やこけし祭りを訪ね、各地方の工人を訪ねて、cochaeとして入門書『kokeshi book』も出版。
また多くのデザイナーにオリジナルこけし制作を呼びかけて展覧会をし、こけしをモチーフにしたグッズを展開するなど、
幅広い活動をしてきました。工人さんは後継ぎがなく、こけし制作だけで生計をたてるのは大変という問題もあるなか、
軸原氏の本をきっかけに状況は少しずつよいほうへと向かい始めました。しかし今回の東日本大震災のために、
伝統こけしに出会える地への観光客が減ったり、一部のこけし祭りが中止になるなどの被害も。これをそのままにするのではなく、
伝統こけしの魅力を伝えることで工人さんを守っていこうという活動がスタート。
それが、札幌では6月30日から宮の森美術館で始まる「KOKESHIEN!」です。
●《こけし》がつないだ縁がつむぐ
「KOKESHIEN!」で東北を支援
「KOKESHIEN!」は、現役工人の作品の展示販売、リサイクルこけしの販売と、
こけしグッズの販売を行うもので、すでに全国で展開中。
現役工人の作品は、いつでも手に入るわけではない貴重品なので、表情豊かな各地方のこけしを見比べ、
手にとることができるめったにないチャンスです。また、家で眠っているこけしはチャリティー支援として寄付していただき、
それを安価で販売し、純利益は義援金として寄付されます。
●宮の森美術館ミュージアムショップでは
「KOKESHIフェア」を開催
この「KOKESHIEN!」、札幌では6月30日から宮の森美術館ミュージアムショップで展開します。
東北伝統こけしの販売、リサイクルこけしの販売と共に注目したいのが、こけしグッズやこけし関連書籍。
軸原氏が手掛けた「kokeshi book 伝統こけしのデザイン」(青幻舎/1,680円/写真1)は、
《こけし》の魅力や奥深さを追究した内容と、愛らしい写真が目を引く秀逸本。《こけし》の入手方法も紹介されています。
本に挟むと開いた時にピョンッと飛び出る「こけしおり」(525円/写真2)、手紙にもなる粋な「折こけ紙」(893円/写真3)、
「ぽち袋」(367円/写真4)、ポストカード(150円/写真5)、『こけしの旅の本』(840円/写真6)、
オリジナルTシャツ(2,500円/写真7)などグッズも多彩なラインナップです。
●宮の森美術館の岡澤さんが
《こけし》の虜になったワケ
「私は《こけし》の存在自体、実は忘れていました。でも軸原さんから『kokeshi book』を紹介され、その奥深さを再認識しました。《こけし》の色使いやテキスタイルなど、どれも素朴だけどモダンで、日本人ならではの繊細さも感じます。無駄なものがそぎ落とされていて、一つひとつ形も違って…。チャールズ・イームズもディック・ブルーナも《こけし》の魅力を知っていて、自宅に伝統こけしを飾っていたほど。そんなおしゃれなものに、日本人は気付いていないんだと知りました。今ではすっかり《こけし》の虜です。一番好きな弥治郎こけしは、ホームページでも紹介しました。宮の森ではイームズこけしを販売します」。
グッズも本も、岡澤さんの説明を聞きながら手にとると魅力倍増。日本が培ってきた伝統工芸品《こけし》に会いに、宮の森美術館ミュージアムショップへ行ってみませんか。
東北と伝統こけし支援の輪「KOESHIEN!」を
札幌に。KOKESHIフェア
場所/札幌宮の森美術館ミュージアムショップ
住所:札幌市中央区宮の森2条11丁目2-1
電話:011-612-3562
期間/2011年6月30日(木)〜8月下旬予定
時間/11:00〜19:00
http://miyanomori-art.jp/special17.html
●KOKESHIEN!ツイッター
http://twitter.com/#!/kokeshien

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古川 奈央(フリーライター)
岡澤さんがどんどんバッグから取り出す《こけし》グッズ。
『kokeshi book』のページをめくるたびに心を打ち抜かれ、
グッズを「こうやって使うの」と説明していただくたびに心が踊ります。
《こけし》がこんなに人を幸せにしてくれるなんて思いもしなかった私のような人が、
この「KOKESHIフェア」で激増する様が目に浮かびました。
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