今年で6回目となる「札幌国際短編映画祭(通称:SAPPOROショートフェスト2011、以下SSF)」が10月6日から10日まで、 「札幌プラザ2・5」をメイン会場に開催されます。88の国と地域、2291本の応募作品の中から、選ばれた78本のショートフィルムを一挙に公開。
映画祭に魅せられ、広告制作プロダクションの代表の傍ら、映画祭の実行委員長として奔走する山岸正美さんに、映画祭の魅力や見どころなどをうかがいました。 映画祭は知っているけど、実際には行ったことがないという人、今年こそ足を運んでみませんか。




マーケティング・コミュニケーション・エルグ
代表取締役・山岸正美さん

笑い、涙、喜び、怒り、愛、人生 様々なドラマが凝縮されたショートフィルム


SSFの前身、俳優・別所哲也さんが主催した2000年「ショートショートフィルムフェスティバルin北海道」から関わっています。 SSFプロデュサーの久保俊哉さんから誘われたのがきっかけです。以来11年間携わっていますが、こんなに魅力的な映画祭は他にないと思います。 「よほどの映画好き」と思うかもかもしれませんが、私自身は映画に対するスタンスはいたって普通。その点では、作品を客観的に見ていると思います。 長編の劇場映画は監督名や出演者を知っていたり、話題作であったりと、事前に情報を知って見に行きますが、ショートフィルムはほとんどが予備知識ゼロ。 知識がないだけに思いもよらない衝撃の出合いや、味わったことのない不思議な感覚や余韻など、思いもよらない感動が大きいのです。 1本1分も満たないものから30分程度のものまで、国籍・ジャンル・テーマはバラバラ。 1本1本がとても新鮮。5分で泣けたり、1分で爆笑したり、刺激的です。

ショートフィルム番長、別所哲也氏も驚く!
クリエイターを輩出


SSFは海外での評価も高く、年々作品がレベルアップしています。 映画祭からプロの字幕翻訳家が誕生したり、毎年ポスターを才能豊かな札幌の作家さんに描いてもらうなど、地元のクリエイターを起用し、世界に紹介しています。 中でも北海道で創作活動を行う、優秀な映画監督や映像作家などを輩出していて、別所哲也さんに「札幌恐るべし」と言わしめたほど。 前年には一観客として客席にいた人が、翌年には作品が上映され監督として壇上にいたというのもSSFならでは。 アイデアとカメラさえあれば、「自分も撮りたい」「できそう」と、思わせる身近なところも魅力です。 まずは国内作品から見てください。いろいろな表現やスタイルがあり、かならず響くものがあるはず。 上映後、子供たちから思わず拍手が湧く「キッズアニメーション」(子供向けの作品を集めたアニメーション全12作品を上映)もおすすめです。






山岸さんのおすすめ3本をPICK・UP!

I-A<ジョセフィーヌという名前の女の子>
私の名前はジョセフィーヌ・ベイカーからとったんだって。すごく腹が立った。誰に何と言われようと私は私。でもなんだか寒い…。
学生らしい楽しい作品。
ルウィーズ・アレックス/22:00/2010 フランス制作

I-C<衛星アルファ46>
宇宙飛行士ユーリは、木星の衛星アルファ64に降り立った。そこで彼は、途方もないパラドックスを目の当たりにして…。
アンソニー・ヴァードックス/14:30/2010 ドイツ制作

I-F<ジョッシュ・コンディション>
ハリウッドの観光ドライバーのジョッシュは、冴えない日々を送っていた。27歳の誕生日に一念発起して自分磨きを始めるが…。
一目惚れした美女との恋の行方はいかに!?
ユルキ・ランタスオ/26:32/2011 アメリカ制作


前年は観客として客席にいて 一年後は監督として壇上に立っていたあの人、 島田英二監督に、いろいろ聞きました。

映画監督・北海道情報大学情報メディア学部准教授
島田英二さん http://eshimada.exblog.jp/


北海道大学大学院で建築を学んでいた島田さんは、SSF前身の映画祭でショートフィルムに出合い、大学卒業後、南カリフォルニア大学のワークショップに参加。 5週間で短編映画5本を制作し、その1本が2001年の映画祭でなんとノミネートされ、監督として壇上にいました。 「2000年に初めて短編映画を見て、短いから感動も少ないだろうと思っていたら、どんでもない。もの凄い衝撃を受けました。 会場にあったチラシに「来年は日本からも作品を募集する」とあり、「E.T.」を見た小3以来、”映画を作りたい“という思いも重なって、映画を作る、映画監督を目指すという明確な意思を持ちました」。
‘01年から10年間で短編映画23本を制作し、各国の映画祭で高く評価されています。 今年5月には、タイのバンコクで開催された映画祭で最優秀賞を受賞。タイでの新たな活動も始まりそうです。 現在はショートフィルムの他にもミュージックビデオやCM、テレビ番組の映像など、個性的な作品を数多く生み出している島田さん。(映像は島田さんのブログから見ることができます) 「短編のおもしろいところは、思いつきを受け入れてくれる懐の深さ。いつもアイデアを考えています。 作品の傾向は、ラブストーリー、コメディ、人間ドラマ、社会派などジャンルはいろいろ。 目標としているのは「E.T.」のように境界線を越える映画。国や言語を越えて訴えかけられるような作品を作りたいです」。

島田英二さんの作品紹介
<零下15度の手紙>
〈北海道セレクション〉会場:札幌プラザ2・5
10/6(木)18:00〜、10/8(土)14:00〜、10/9(日)11:00〜
冬の北海道大学が舞台。雪の研究をしている沙十美は事故で眠ったままの恋人、 貴仁に宛てて、毎日、雪の結晶を描いた手紙を送る。雪氷学者・中谷宇吉郎の「雪は天から送られた手紙である」という言葉をモチーフに描いたラブストーリー。
<The Door>
〈ジャパン・オフ・シアター〉会場:シアターキノ
10/10(月)21:00〜
監督、企画、編集、カメラ、運転など、1人何役もこなして制作した作品。「ドアの向こうにはいつでも世界が広がっている」をテーマに、つながり、広がる、 創作の原点に立ち返ったような作品。

取材・文/柳 亜古




第6回 札幌国際短編映画祭
SAPPOROショートフェスト2011


グランプリ受賞作などのアワードを決める国際審査員に、 音楽家の細野晴臣氏、帯広市出身で「海炭市叙景」の熊切和嘉監督、 韓国を代表するイム・スンレ監督など、海外からゲスト審査員を招きます。 1プログラムは7、8本で上映時間は90分前後。 チケットは、前売り1プログラム=1000円、3プログラム=2400円、VIP回数券=9000円。

●メイン上映会場
札幌プラザ2・5(旧東宝プラザ)
札幌市中央区南2条5丁目(狸小路5丁目)

●特別上映会場
シアターキノ
札幌市中央区南3条西6丁目(狸小路6丁目)南3条グランドビル2F

●チケットプログラムに関するお問い合わせ/札幌市コールセンター
TEL011-222-4894(8:00〜21:00)

●その他の問い合わせ/SAPPOROショートフェスト実行委員会事務局
TEL011-817-8924(平日11:00〜18:00)

上映スケジュールやプログラム、チケット情報などは、
WEBサイト、モバイルサイトで!
http://sapporoshortfest.jp



柳 亜古(フリーライター)

規模が大きくなり、コンテンツも増えて、やや足が遠のいていましたが、今回話をうかがい、純粋にショートフィルムを楽しみに行こう!と改めて思いました。 中谷宇吉郎ファンとしては「零下15度の手紙」は必見。気分が盛り上がる素敵な予告編もどうぞ。 http://www.youtube.com/watch? v=sWJb1b7PIaA&feature=related


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