地球上で最も美しい生き物に喩えられるサラブレッド。馬具創業者としてスタートしたエルメスの広告写真では、 傍らの美女から主役の座を奪い取ってしまうほど、彼らの風貌には特別なものがあります。 美意識が高く、生き物が好きな人ならば、「いつか馬に乗ってみたい」と一度は憧れたことがあるはず。 それならぜひ、その夢を適えてみませんか。
北海道にはリーズナブルな乗馬クラブがそろっているし、体験乗馬も盛んです。 乗馬とまではいかなくても、馬が好きで身近で見てみたいという人は迷わず競馬場へ。 人馬一体となった迫力あるレースは、あなたの休日を盛り上げてくれること間違いなし。お小遣い程度の馬券でもいいのです。 十分にレースの興奮を味わうことができます。さあ、馬のいる日常へ。


大きいのに臆病者?
馬を知って、友だちになろう


馬は見たことがあっても、身近な犬や猫と違ってどんな生き物なのか、よくわからないですよね。 草食動物の馬は臆病で繊細な生き物。気持ちの変化はクルクルと動く耳や大きな目によく表れます。記憶力がとても良いので、いつもお世話をしてくれる人の足音を聞き分けることができます。
馬はおとなしく穏やかな生き物ですが、臆病だったり敏感だったりするのは、身を守ろうとする本能が強いためです。 自己防衛のために仲間がいる時は同じ行動をとろうとします。 競馬とはこの性質を利用したスポーツなのです。
馬は人と違った能力をたくさん持っていますが、馬に乗ってみると人の言葉をよく理解することや、心の中まで伝わってしまうことが段々とわかってきます。 人間が「こわい」って思うと、馬にも「こわい」って気持ちが伝わってしまいます。知能は人間の5歳程度と言われ、情緒などは人間の何倍も発達しているという人もいます。 馬のイメージ、変わりましたか?


馬と一緒に成長できて
ずっと続けられるスポーツ


乗馬をするなら、乗馬クラブに通うのが一番簡単です。入会するのは馬に乗るどころか、触ったこともないという人がほとんど。 今年のロンドンオリンピックでは71歳で馬術競技に挑んだ法華津寛さんが証明するように、いくつになっても十分続けられるスポーツです。 初心者でも基本動作ができれば、世界中のリゾートで乗馬ができるようになり、旅の楽しみが何倍にも膨らみます。
乗馬クラブのシステムは個々で違いがありますが、たいていのクラブには会員とビジターのふたつがあります。 会員になるには入会金や年会費が必要になりますが、その分1回あたりの騎乗料がビジターと比べて安くなります。 これから本格的に乗馬を習いたいという人や週に2、3回は乗りたいという人には会員がおすすめですし、 頻繁には通えないのであればビジターでマイペースに楽しんではいかがでしょう。乗馬クラブは、たくさんの馬好きの人たちとの出会いも魅力の一つです。


ビギナーズラックを狙って
楽しい競馬場デビュー!


馬とつながっていく方法は乗馬ばかりではありません。競走馬と騎手が一体となって、勝利をめざして行く競馬には、語りつくせない魅力があります。 レースを予想する愉しさ。スポーツとしての面白さ。競走馬や騎手を応援するファンの熱い気持ち。 競馬がギャンブル一色だった時代は馬ばかりが主役でしたが、今は騎手も競走馬もアスリートとして考えられています。
さらに競馬場も年々様変わりをして、女性同士で気軽にレースを楽しむ姿が増えてきました。 パドック(レース前に馬を見られる場所)の最前列にはカメラ女子がずらりと並んで、お目当ての競走馬や騎手の写真をパシャリ。 競馬の楽しみ方は幅が広いのです。子どもの遊び場や乗馬体験施設のある内馬場(コース内側の敷地)では、1日をのんびりと過ごす家族連れが大勢います。 お腹がすいたら、カフェやレストランのほかに、ご当地グルメの屋台やケータリングカーまでそろっています。
地元の競馬場でレースを楽しめるようになったら、ぜひ地方遠征へ。北から南まで、競馬場はどこにでもあります。運が良ければ旅先で豪華ディナーなんてことも。 印象的な旅になることうけ合いです。


フランスの凱旋門賞で
日本馬初の世界No.1をめざす
5冠馬オルフェーヴル


競馬をやらない人でも武豊やディープインパクトの名前を知らない人はいないでしょう。 競馬界にもスタージョッキーやアイドルホースというのがいて、競馬人気をリードしています。 そして現在のアイドルといえば、押しも押されぬ5冠馬オルフェーヴルです。天才少年のディープインパクトは100年に1度の最強馬と言われていますが、 ディープインパクトのような優等生と比較すると、オルフェーヴルはレース後に騎手を振り落としてしまうようなヤンチャ坊主。 強さを秘めながらも気性の荒さからなかなか勝負に勝てませんでした。 挫折を繰り返しながらもそこから国内最強馬へと成長していった様子がファンの共感を呼んでいます。
そのオルフェーヴルが、10月7日、パリのロンシャン競馬場で開催される、世界最高峰レース、凱旋門賞に挑みます。 騎乗するのは日本のレースにも参戦している、クリストフ・スミヨン騎手。ベルギー人の彼は、馬を愛する心やさしい青年。 過去2回、この凱旋門賞を勝利しています。
もし、この時期にパリにいるあなたは、ぜひ競馬場へ足を運んでみてください。 歴史的瞬間に立ち会えるチャンスです。簡単なドレスコードはありますが、帽子なら入口でも売られています。世界のセレブたちと一緒にレースを楽しみましょう。




馬とのふれあい&乗馬スポット

●ノーザンホースパーク
馬をテーマにした美しいパーク。馬車や引き馬、体験乗馬もOK!厩舎の見学もできる。10/27はハロウィンイベント開催。
http://www.northern-horsepark.co.jp/

●すずらん乗馬クラブ
創業1979年。ドリームパスポートなど元JRA競走馬にも騎乗できる。瀟洒なクラブハウスとアットホームな雰囲気が魅力。
http://www.north-wind.ne.jp/~suzuran/index.htm

●南幌ライディングパーク
広々とした屋内馬場があり全天候型で乗馬が楽しめて、初心者向けのやさしい馬がいる。近くに南幌温泉ハート&ハート。
http://www.nrp-2007.com/

●フロンティア乗馬クラブ
初心者でも林や海岸へとホーストレッキングが楽しめる。レストランやペンションがあり施設が充実。
http://frontier1971.com/



中野博美(フリーライター)

広告宣伝のコピーワークや旅行雑誌での執筆をしながら日々馬修業。好物は競馬ブック。王子様はグラスワンダー。


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馬と気持ちを合わせて乗馬が上達する達成感。 馬に信頼され、甘えられる喜びはシンプルだけれど、かけがえのないもの



小さな頃からクラブに通っている女の子。馬はこんな風に気持ちを伝えたり、いたずらをすることもある



[2012年]被災した「福島競馬場」再出発の日。競馬で震災支援もできる!



[2010年]世界最高峰レースの一つ、UAEドバイワールドカップ会場の「メイダン競馬場」。こちらは女性のファッションレース





[2011年]オルフェーヴルは3歳という若さで有馬記念を征し4冠馬に。 凱旋門賞は、10月7日(日)22:00〜23:45 フジテレビ「Mr.サンデー拡大SP(仮)」内で生中継を予定

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