2013年もさまざまな飲食店がオープンした札幌。アナタは何軒の新店に出かけましたか?
2012年11月〜2013年10月までにオープンした新店の中から、要チェックのお店をフードライター・小西由稀の独断と偏見でご案内。
今年も残すところあと一ヶ月。さぁ、2013年の食べ納めに出かけましょう!



こういう和食店知りたかった!の声多数

食べたい料理がいくつもある。そんなお店に出会えると、幸せな気分になる。初めて『料理たいち』を訪れた日も、味のある手書きメニューを目で追いながら、あれも食べたい、これも食べたいと、随分悩ましい思いをしたものだ。
昨年11月のオープンだが、FIL読者のみなさんにご紹介したく2013年の新店コレクションにエントリー(笑)。
ご店主は「うちはただの居酒屋ですから」と謙遜して仰るけれど、揃える魚は北海道産と九州産の旬の天然物。それを直球の刺身ばかりではなく、酢締め、たたき、コチョリ(韓国風の即席漬け)にする日もあったりと、多彩に楽しませてくれる。魚料理ばかりではなく、肉料理、締めのパスタも抜かりない。季節にもよるが、付け合わせで活躍する札幌近郊産の野菜の味も心に残る。
オフィス街の一角、隠れ家的な立地。個人的には居酒屋というよりも、品の良い和食店という方が、雰囲気に合っていると思う。


肉好き女子に捧げるシャルキュトリー

CAMARADE SAPPORO(カマラード サッポロ)』は今年5月のオープン。狩猟肉に熟成肉など、ジビエの時季にぴったりな"肉ビストロ"。
本社の「エレゾ社」は、十勝・豊頃町にある。エゾシカなどの狩猟肉のほか、日本固有種の短角牛、放牧豚など、より自然に近い環境で育った肉の生産、熟成、加工まで一貫して行う肉のプロ集団。主に東京の有名店に肉や加工品を卸しているが、自らもレストラン部門を展開と相成った。
ここのメニューでまずおすすめしたいのは、「シャルキュトリーの盛り合わせ」。シャルキュトリーとは、ハムやソーセージ、パテといった肉の加工品のこと。その日の食べ頃を6種類ほど提供。味や食感のアクセントにレバーなど内臓を加えることが多いが、いずれも強いクセはない。多彩な個性を楽しめ、ワインが進む。
このほか熟成短角牛のロースト、蝦夷豚のクリーム煮込みなど、魅惑の肉料理がアナタを待っている。



新・美食ビルがオープン

美食ビルとして話題なのは、「茶月斎」「文次郎」など多彩な飲食店を擁する「大洋ビル」だが、少数精鋭の新・美食ビルとして9月に完成したのが『SCALETTA』。
1階に入る『osteria IL Solito(イル ソリト)』は、イタリア料理店。シェフが最も影響を受けたという修業先の北イタリア料理を推す。オーストリアと国境を接する南チロル地方の「カンネデルリ」など、珍しい郷土料理も並ぶ。このカンネデルリ、パンと生ハムでつくる団子状のパスタで、素朴でホッとする味わい。
テーブル席もあるが、オープンキッチンを囲むL字のカウンター席が心地良くておすすめ。ワインも北イタリア産が中心。どれでもグラスで提供する太っ腹なサービスも嬉しい。
3階の『Dolceteria Hokkaido HASSO(八窓)』は、円山の人気イタリア料理店「Oggi」(改装のため一時休業中)の姉妹店。普段はコース料理でしか出会えないレストランデザートを、アラカルトで楽しめるというコンセプト。北海道産の食材を生かしたものなど、常時10種類ほどを用意。新作には白トリュフの香りをまとったアイスクリームなど、女心をぐっとつかむデザートも登場。
HASSOのもうひとつの楽しみ方はお酒と料理。酒肴からパスタ、メインまで幅広く揃い、こちらも道産食材が活躍。デザートだけの人と食事をオーダーしたい人が一緒に楽しめる貴重な空間。集まる機会が多いこの季節、覚えておきたい一軒。



お手軽なだけではない、お店あれこれ

最後に3軒まとめてご案内。お手軽系のお店だけれど、それだけではない注目店。
最近、刺激のある生活をしてる? 『175°DENO〜担担麺〜』は、麺好きにそっと教えたい担々麺専門店。汁なし・汁ありを選べ、さらに痺れない・痺れる・すごく痺れるという風に、ヒリリと舌をとらえる中国山椒の「麻(=痺れ)」の味の強さをチョイスできる。痺れに自信のある人は、汁なし&すごく痺れるを。材料から吟味する自家製調味料が、重層的な風味を生み出している。久しぶりに「旨い!」と、胃袋がうなった担々麺である。
HASAMIYA』は心躍るサンドイッチの新店。食パンのサンドイッチ、トーストしたサンドイッチ、南部鉄器で焼くホットサンドが、各々10種類前後もメニューに並ぶ。この中から今日の一品を選ぶのは嬉しくも悩ましい。高校時代をN.Y.で過ごしたオーナーの思い出の味の再現と、どこか昭和を感じさせるサンドイッチがテーマ。ジャム類やポテトサラダはもちろん、ハムやベーコン、パストラミビーフまで塊肉から仕込む。ひたすら真面目に手づくりで、お手頃価格も嬉しい。テイクアウトのほか、カウンター席でイートインもOK。
チーズ売り場で、こんな風に思ったことはないだろうか。「いろんな種類を好みの量だけ買うことができたらいいのに…」と。そんな思いに応えてくれるチーズショップが、「space1-15」にできた『アドナイチーズ502』。オホーツクの興部町でチーズ工房を構え、全国区の人気を誇る「アドナイ」の直営店。食べ頃を迎えた工房直送の約10種類が並ぶ。熟成を経て旨味や香りが増すタイプが多く、フレッシュタイプ以外は試食が可能だ。持ち寄りパーティが多い季節、お気に入りを探してみてはいかが?





●料理たいち
札幌市中央区北1西7(中通り)EXYビル1F TEL/011-796-2161

●CAMARADE SAPPORO
https://www.facebook.com/CamaradeSapporo

●osteria IL Solito オステリア イル ソリト
http://ilsolito.jp/

●Dolceteria Hokkaido HASSO
http://www.oggisapporo.jp/

●175°DENO〜担担麺〜
https://www.facebook.com/denotantanmen

●HASAMIYA
https://www.facebook.com/hasamiyasandwich

●アドナイチーズ502
http://www.space1-15.com/shoplist/804.html


※webに記載された営業時間、定休日が変更になっている場合もあります。事前にご確認、ご予約の上お出かけください。




小西由稀(フードライター)

北海道在住のライター。主に北海道の食の現場を取材し、生産者、職人、料理人、そして北海道のおいしい食の魅力を、さまざまな媒体で発信中。主な著書に「おいしい札幌出張」「食のつくりびと」「おいしい札幌出張2」がある。



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2011.3 2011.4 2011.5 2011.6 2011.7 2011.8 2011.9 2011.10 2011.11 2011.12 2012.1 2012.2 2012.3 2012.4 2012.5 2012.6 2012.7 2012.8 2012.9 2012.10 2012.11 2012.12 2013.01 2013.02 2013.03 2013.04 2013.05 2013.06 2013.07 2013.08 2013.09 2013.10

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料理たいち


CAMARADE SAPPORO


osteria IL Solito


175°DENO〜担担麺〜

撮影/山本顕史、赤塚愛美
(ハレバレシャシン http://harebare.co.jp/
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