3.11。あの日、福島からすぐに秋田、新潟を通って札幌へと避難をした矢内幸子さんと、「自分にはなにができるか」を考え行動した山口たかさんが札幌で出会い、「福島の子どもたちを守る会・北海道」は生まれました。 今回Filは、会の副理事長を務める山口さんに、お話を伺いました。「私にできることは、何か」――そう考えるきっかけになれば、幸いです。


2011年6月1日に出会ってその10日後には会を発足しました。

「福島原発の被災者を支援しよう」――山口たかさんがそう決めたのは、震災直後のこと。たまたま近所の方から、空いている建物を被災者の方に使ってもらいたいという話を受け、利用者を募集して出会ったのが、現在、会の共同代表を務める矢内幸子さんでした。福島で養護教諭をしていた矢内さんは、子どもの健康に不安を覚える親からの相談も受けており、「SHUT泊」の泉かおりさんと3人で意気投合して「福島の子どもたちを札幌に受け入れよう」と会を発足。会ってわずか10日のことでした。

会の主な活動は、子どもたちの保養。「食べ物、飲み物に不安を抱え、空気、水、草木、土――自然とふれあえない場所から子どもたちは訪れます。だから、何の制限もない、当たり前の生活をしてもらいたいというのが、私たちの一番の思いです」と山口さんは語ります。会では夏、冬、春と、子どもたちが長期の休みに入るタイミングに合わせて保養をしています。

1年目、会の発足から夏休みまではわずか1カ月弱。「お金をどうにかしなければと思い、本当に髪を振り乱して資金を集めました」。それでも1年目は、道庁が避難される方々の交通費補助をしており、公的宿泊施設も無償で利用ができました。また、蘭越町やニセコヒルトンホテルなどのサポートもあり、多くの義援金も集まって、約1カ月の間、子どもたちを受け入れることができたそうです。

「2012年は200世帯くらい申込をいただきました。当初は受け入れ30人と言っていたのですが、小さなお子さんがいる家庭や、放射線量の高い地域の方はどうしても断れない。なんとか60人までお呼びしましたけど、それでもくじ引きで決めなくちゃいけないのは辛かったですね」。



10年間は、福島の子どもたちを呼び、お母さん方をサポートし続けます

1年目、全村避難となった飯館村の隣の川俣町から、保養で訪れた家族がいました。「川俣町にはインターネットを使わない世帯も多いので、ぜひ会のPRを町でしてほしいと依頼を受けたので、2012年に学童保育の場所を借りて説明をし、地元の方のご協力で幼稚園・保育園・小学校に相談会のチラシを撒きました。そのとき、放射能・避難・原発という言葉を遣わないでくれと教育委員会から言われたんです」。同時に放射線量の高い地域の神社の境内で、小さな子どもたちが遊んでいるのも目にしたと言います。

「チェルノブイリでは子どもの甲状腺がんは4・5年後から現れ、10年目がピーク。今はそのとき子どもだった世代が結婚して生まれた子どもたちに症状が現れています。10年ピーク説が本当かどうかはわからないけれど、私たちはその10年は必ず会を続けて、そのあとは次世代にバトンタッチして続いていくことを願っています」。

保養期間中は、子どもたちが寝静まってから、スタッフとお母さん方との会話の時間がもたれます。「女子会って言っています(笑)。福島にいては言いづらいことを話してもらいます。私たちは聞いて差し上げることしかできないから…」。札幌で出会ったお母さん方が、福島に戻ってからも定期的に会うネットワークをつくり、輪は広がっているようです。



私たちの都合で期間を決めるのではなく来たい時に来ていただける場所をつくります。

現在、会では八剣山に保養所をつくる準備を進めています。農家だった古い家の水回りをリフォームし、7世帯が宿泊できる広さになる予定だとか。そこには脱原発のシンボルとして、太陽光パネルも設置する計画です。

「福島のこどもたちを守る会共同代表になった泉かおりさんは1年前にガンでなくなったのですが、脱原発のために奔走し命を削った2年間でした。保養所をつくることも、太陽光パネルを設置することも泉さんの強い願いでした。だから、必ず実現したい」。

保養所は約2,000坪の広さ。畑もできるし、ハウスがあるので雨が降っても遊べる場所。徒歩圏内には石釜焼きのパン屋さん、ワイナリー、そして乗馬やバーベキューなども楽しめる果樹園が、また車で数分の距離には小金湯温泉もあり、子どもたちが過ごすには素晴らしい環境。「交通の便は悪いんですが、車を寄付してくださった方もいるので共有して活動できます」。



活動を続けるためには、長く続く支援が必要です。

福島で暮らすという選択をした方々が、孤立をせずに励まし合って日々を過ごし、保養に来たいと思った時に訪れることのできる場所が、現在準備を進めている八剣山の保養施設です。「どういう選択をした人に対しても、しっかりサポートする活動をやっていきたいと思っています」。

会を維持するためには、活動を支える資金や、保養所を維持するための費用も必要です。そのため会では、支援者や賛同金を通年で募集しています(下記)。また、ボランティアの力も必要です。保養期間は、食事の用意や札幌市内のガイド、希望者には甲状腺の検査があるので病院への同行も必要です。また、期間以外は様々な集会やイベントを行っているので、その手伝いもあるそうです。



★5月にはSPACE SYMBIOSISで、
3. 11チャリティショップ開催★


5月にはSPACE SYMBIOSISで、チャリティショップも開催します。札幌で活躍している人気作家さんが作品を大提供!多くの作品やポストカード、アクセサリー、洋服、ジャムやお菓子などが登場します。全額を同会に募金するので、Filのeventページをお見逃しなく!


★参加作家・ブランド★(2014年3月25日現在)
蔦井乃理子(陶器)/ 蔦井美枝子(織物)/ 岡本和行(写真ポストカード)/ Takako (スカーフ&洋服)/ 丹羽シゲユキ(磁器)/ accha cafe (アクセサリー) / Marzo Jewelry(ジュエリー)/ FORTUNA(洋服)/ 岩崎あゆみ(ポストカード)/ Aim (アクセサリー)/ おりんごりんご(ポストカード)/ Petite Merveille(お菓子)/ Limousset(ジュエリー)/ Motoi derico(コスチュームジュエリー)/ Shippo's Sampling(ジュエリー)/ 小路口力恵(ガラス)/ 佐々木小世里(ポストカード)/ Color salon Nada (ジュエリー)/ chillout cook (ジャム)/ huit(服飾雑貨)/ Bouno(洋服)/ 西山 雪(ガラス)/ P-story(ジュエリー)/ 山崎友紀(お菓子)/ upas(ジュエリー)/ 木寅 視有綺(ジュエリー)他。


●SYMBIOSIS 3.11 チャリティショップ
会期:2014年5月2日(金)〜5月15日(木)
会場:SPACE SYMBIOSIS
(札幌市中央区南2西4(西向き)SYMBIOSISビル1F)
TEL:011-210-0199 (FORTUNA)
OPEN: 12:00〜19:30





●福島の子どもたちを守る会・北海道
http://fukushimakids.org/?page_id=23
札幌市北区北8条西3丁目 エルプラザ2F
市民活動サポートセンター内(No.2)
090-6990-5447

【支援・参加】
・年会費/5,000円
・賛同金/個人一口1,000円、団体一口3,000円(何口でもOK)
・保養所建設資金
ゆうちょ振替口座/福島の子どもたちを守る会・北海道 02790-5-66504




古川 奈央(フリーライター)

保養で訪れた子どもが、ニセコの土をビニールに入れ、「持って帰って、家のお庭の土と入れ替えるの」と言ったそう。子どもを守れるのは大人たち。せめて北海道の自然を満喫できる子どもたちが、1人でも増えますように。そして、日本から原発が1基もなくなりますように(願)。



★Special Back Number
2011.3 2011.4 2011.5 2011.6 2011.7 2011.8 2011.9 2011.10 2011.11 2011.12 2012.1 2012.2 2012.3 2012.4 2012.5 2012.6 2012.7 2012.8 2012.9 2012.10 2012.11 2012.12 2013.01 2013.02 2013.03 2013.04 2013.05 2013.06 2013.07 2013.08 2013.09 2013.10 2013.11 2013.12 2014.01 2014.02

★Back Numberはこちらからご覧いただけます。
































Copyright (c) FIL Sapporo. All Rights Reserved.