GLP-1受容体作動薬として注目される「オゼンピック」と、新たに登場した「マンジャロ」。.
どちらも体重減少や糖尿病治療に使われる注射薬ですが、「どっちが効果的?」「副作用は?」「自分にはどちらが合うの?」と迷う人も多いはずです。
特に、ダイエット目的での使用を検討している人にとっては、「痩せる力」や「副作用の出やすさ」「費用や使いやすさ」など、比較すべきポイントがたくさんあります。
この記事では、マンジャロとオゼンピックの違いを、作用機序・効果・副作用・選び方まで、わかりやすく解説していきます。
マンジャロとオゼンピックの違いを徹底比較
マンジャロ(tirzepatide)とオゼンピック(semaglutide)は、どちらもGLP-1関連の作用を持つ注射薬であり、肥満や糖尿病の治療に使われています。しかし、その作用機序や特徴は異なっており、どちらを選ぶかは目的や体質によって変わってきます。
作用機序の違いをわかりやすく解説
- オゼンピック(semaglutide):GLP-1受容体作動薬。
→ 食欲を抑え、血糖値の上昇を防ぐ「単一のホルモン作用」 - マンジャロ(tirzepatide):GLP-1+GIPのデュアル受容体作動薬。
→ GLP-1に加えて、GIP(胃抑制ポリペプチド)にも作用し、脂肪代謝やインスリン感受性にも働く“二刀流”
つまり、マンジャロは「GLP-1薬にさらなる加速装置がついたような構造」と言えます。
投与頻度や用量の違いとその意味
薬剤名 | 投与方法 | 投与頻度 | 用量の調整 |
---|---|---|---|
オゼンピック | 皮下注射 | 週1回 | 0.25→0.5→1.0mg(最大2.0mg) |
マンジャロ | 皮下注射 | 週1回 | 2.5→5→10→15mg(最大15mg) |
どちらも週1回の注射である点は共通していますが、マンジャロの方が投与量の幅が大きく、より強い効果を得られる可能性があります。
日本での承認状況と適応症の違い
薬剤名 | 承認されている主な用途 | 日本でのダイエット適用 |
---|---|---|
オゼンピック | 2型糖尿病/肥満治療(海外) | 自費診療で使用例あり |
マンジャロ | 2型糖尿病(日本)/肥満治療(海外) | ダイエット目的での使用は医師判断による |
現在、日本での肥満治療目的での承認はまだなく、いずれも自費診療での利用が中心です。ただし、アメリカなどでは両者とも肥満症治療薬として正式に承認されています。
マンジャロとオゼンピックはどちらが痩せるか
マンジャロとオゼンピックは、どちらも体重減少や血糖値改善に効果がある薬ですが、近年の臨床試験データを見ると、効果の強さや出方には明確な違いがあることがわかっています。
臨床試験データから見る体重減少効果
2025年に報告された比較試験 Tirzepatide as Compared with Semaglutide によると、マンジャロ(tirzepatide)はセマグルチドよりも優れた体重減少効果を示しました。ニューイングランド医学ジャーナル
実際、試験では tirzepatide 使用群で最大 約22.9% の体重減少が認められたと報告されています。ニューイングランド医学ジャーナル
この結果をわかりやすく数値で比較すると、仮に体重100kgの人が使用した場合、tirzepatide 群では約 20kg 前後の体重減少が期待され、同条件下のセマグルチド群と比べて、数kg〜十数kgの差が出るケースもあります。
薬剤 | 平均体重減少量(約40週後) |
---|---|
セマグルチド(1mg) | 約6.4kg |
マンジャロ(10mg) | 約9.3kg |
マンジャロ(15mg) | 約11.2kg |
マンジャロの方が、同条件下で2〜5kgほど体重減少が大きいという結果が出ています。
実際の使用者のデータと効果の傾向
アメリカの肥満専門クリニックでは、マンジャロを使った患者の多くが、3ヶ月で8〜12kg前後の減量を達成しています。一方、オゼンピックも効果は高いですが、「もう一段階痩せたい」という患者がマンジャロに切り替えるケースも見られます。
また、血糖コントロールの面でもマンジャロはオゼンピックより優れているとする研究が複数あります。
効果の出方や持続時間の違い
- オゼンピック:比較的ゆるやかに体重が減る傾向。副作用もやや少なめで、長期使用に向く
- マンジャロ:効果が出るスピードが早く、減量幅も大きいが、副作用も出やすい傾向あり(特に吐き気)
つまり、「確実に痩せたい」という人にはマンジャロ、「ゆっくりでも安全に続けたい」人にはオゼンピックが向いているとも言えます。
副作用や安全性を比較する際のポイント
効果が高い薬ほど、副作用のリスクも無視できません。マンジャロとオゼンピックには共通の副作用がある一方で、それぞれに特有のリスクや出やすさの違いも存在します。安全に使い続けるためには、その特徴を把握しておくことが大切です。
吐き気や下痢など消化器系の副作用の違い
GLP‑1受容体作動薬(および tirzepatide を含む薬剤群)において、消化器系の副作用は非常に一般的であると報告されています。ウィキペディア
実際に、tirzepatide の一般的な副作用には 吐き気・嘔吐・下痢・便秘 が含まれ、用量が高くなるほど発生率が上昇する傾向があります。ウィキペディア
したがって、マンジャロでは特に初期段階において、これらの消化器系症状が強く現れやすい可能性があると考えられます。
副作用 | マンジャロ | オゼンピック |
---|---|---|
吐き気 | 多い(特に初期) | やや少ない |
下痢・便秘 | 見られるが慣れると軽減 | 同様に軽減傾向 |
食欲不振 | 強く出やすい | ややマイルド |
マンジャロは作用が強い分、吐き気や満腹感が強く出る傾向があります。ただし、多くの場合は数週間で体が慣れるとされています。
低血糖や膵炎などその他のリスクについて
- 低血糖:単独使用では起こりにくいが、他の糖尿病薬と併用時は注意
- 膵炎の可能性:両者とも過去に膵炎歴がある場合は慎重に
- 甲状腺腫瘍:動物実験レベルでの指摘はあり、人間でのリスクは明確でないが警戒対象に
重篤な副作用は非常に稀ですが、どちらも医師のモニタリング下で使うべき薬であることは共通です。
高用量での副作用リスクと中止後のリバウンド
- マンジャロは用量が高くなるほど副作用が出やすいが、効果も大きい
- 中止後の体重リバウンドも報告あり(特に食欲が戻りやすい)
- オゼンピックも中止で再増加はあるが、変化はやや緩やか
つまり、副作用のコントロールがうまくいけばマンジャロは強力な選択肢ですが、使いこなすには多少の慣れと管理が必要という点で、選び方に差が出てきます。

マンジャロとオゼンピックどちらが自分に合うか
マンジャロとオゼンピックは、どちらも痩せたい・血糖をコントロールしたい人にとって強力な味方ですが、効果の出方や副作用の傾向が異なるため、自分に合った薬を選ぶことが大切です。ここでは、目的や体質別に「どちらが向いているか」の目安を紹介します。
体重をしっかり落としたい人にはマンジャロ
- 短期間で大きく痩せたい
- BMI30以上など、重度の肥満がある
- 食欲を強く抑えたい
- オゼンピックで効果が弱かった人
マンジャロは「痩せ幅」の点で他のGLP-1薬を上回るデータが出ており、より高い減量効果を求める人に適しています。
初心者や副作用が心配な人にはオゼンピック
- 軽度〜中程度の肥満
- 初めてGLP-1薬を使う
- 吐き気などの副作用に敏感
- 血糖コントロールが主目的(糖尿病患者など)
オゼンピックは作用が比較的マイルドで、副作用の出方も穏やか。そのため、まず試してみたい初心者や、安全性を重視する人に向いています。
糖尿病治療目的で選ぶ際の考え方
- HbA1cの改善が必要な人
- 他の糖尿病薬と併用している人
- 医師の指導のもとで継続的に使える体制がある人
マンジャロとオゼンピックは、どちらも糖尿病治療薬としても優秀です。血糖値管理が主目的ならば、医師と相談して合うものを選ぶのが正解です。
選ぶ前に知っておくべき注意点と相談すべき項目
マンジャロとオゼンピックのどちらを選ぶにしても、「自分に合っているかどうか」を見極めるには医師との相談が不可欠です。ここでは、選択時に押さえておくべき判断基準と、診察時にチェックしておくべきポイントを紹介します。
保険の適用範囲や費用面の違い
- 日本ではどちらもダイエット目的では保険適用外(=自費)
- マンジャロの方が新薬であり、価格はやや高めに設定されていることが多い
- 効果を感じるまでに数ヶ月の継続使用が必要であるため、費用面・通院ペースも現実的に考えておく必要がある
通院頻度や必要な検査項目
- 副作用が出やすい初期は、1〜2週ごとの通院チェックが望ましい
- 吐き気や便通異常が強い場合は、すぐに医師に報告する
- 体重や血糖値の変化を記録しておくと、薬の効き方や調整判断に役立つ
併用薬や持病がある場合の注意点
- 他の糖尿病薬との併用による低血糖リスクを確認する
- 腎機能・肝機能に問題がある人は、血液検査での確認が必須
- 甲状腺疾患や膵炎の既往がある場合、使用を避けるケースもある
また、妊娠中・授乳中・妊活中の方は、原則として使用を控えるべきとされており、ライフステージに合わせた選択が必要です。
マンジャロとオゼンピックの比較まとめと選び方のコツ
マンジャロとオゼンピックは、どちらもGLP-1関連薬として体重減少や血糖コントロールに優れた効果を持っていますが、それぞれに明確な特徴と向き・不向きがあります。
マンジャロは「より高い減量効果を狙いたい人」向け。
強力なデュアル作用により、短期間での体重減少が期待できる反面、吐き気などの副作用が出やすく、費用や体の負担も大きめです。
オゼンピックは「副作用が心配な初心者」や「血糖管理を重視したい人」におすすめ。
作用が穏やかで、長期的に安全に使いやすい点が魅力です。
最終的な判断に迷った場合は、以下のような点を振り返ってみましょう:
- 減量重視か、血糖コントロール重視か
- 副作用に強い体質かどうか
- 継続的な費用や通院の負担に耐えられるか
- 生活習慣改善と薬を両立できそうか
医師と十分に相談し、自分の目的・体質・ライフスタイルに合った薬を選ぶことが、成功への一番の近道です。